南留別志183
荻生徂徠著『南留別志』183
一 仮名(けみょう)の文字にいへる、吉は橘なり。橘次(きちじ)、橘内(きちない)、橘六(きちろく)あり。忠は中原なり。中三権守あり。金は金刺(かなさし)なり。甚は大神なり。禰津(ねづ)神兵と系図にあり。勘は菅原なり。郷は大江なり。弥は小野なり。小河系図に、六野太野左衛門といふあり。其子孫、今の世までも、代々弥の字をつく。清は清原なり。伴は大伴なり。才は斎部(いんべ)なり。惣は惟宗(これむね)なり。幸は高階(たかしな)なり。喜は紀なり。長は長谷部なり。長兵衛宣連あり。此外は押してしるべし。
[語釈]
●仮名(けみょう) 江戸時代以前に諱を呼称することを避けるため、便宜的に用いた通称のこと。ここではその例が挙げられている。
●中三権守 中原兼遠(なかはらのかねとお、生年未詳 - 治承5年(1181年)?)は、平安時代末期の武家。右馬少允・中原兼経の子。木曾義仲の乳母父。中原氏の三男であることから、木曾中三、中三権頭(ごんのかみ)などの別名がある。
●金刺 古代氏族の一つ金刺部氏(かなさしべし)。
●禰津 信濃国小県郡禰津(現・長野県東御市祢津周辺)を本貫地とした武家の氏族。「禰津」の記載が一番多いが、現代では「根津」「祢津」の苗字が一番多い。
●惟宗 平安時代に始まる氏族で、秦氏の子孫とされる。
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