南留別志177

荻生徂徠著『南留別志』177

一 降真香(こうしんこう)は、雷をさ(避)くる物なり。雷にやかれて、身のくろ(黒)くふすぶりたるに、是をたきたる烟(けぶり/けむり)にてふすぶれば、やがて白くなるなり。是をも同じ比(ころ)より、護真香といひならはせり。くだるといふには、雷のおつる心あるを忌(い)めるなりけり。


[語釈]

●降真香 中国・タイなどで産する香木から作る香料。


[解説]現在は香料として使われている降真香は、昔は雷除けのまじないにも使われたらしい。「降」という字は「くだる」、下に落ちるという意味があり、落雷に通じてしまうため、我が身を護れということから「護」の字を使い護真香と言い慣わしたという。現在は「降真香」が使われている。

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