南留別志175

荻生徂徠著『南留別志』175

一 忰を「せがれ」とよむ。周礼(しゅらい)の国倅の字なるべし。


[語釈]

●周礼 『周礼』(しゅらい)は、儒家が重視する経書(けいしょ)で、十三経(重産業)の一つ、『儀礼』(ぎらい)『礼記』(らいき)と共に三礼(さんらい)の一つ。『周礼』は偽書の疑いがある書物で前漢に劉歆(りゅうきん 前漢末から新にかけての経学者、天文学者、目録学者)が作ったとされる一方で周公旦(しゅうこうたん 周王朝の政治家。姓は姫(き)、諱は旦。魯の初代の公である伯禽の父。呂尚(太公望)や召公奭(しょうこうせき)と並ぶ、周建国の功臣の一人)が書き残したものとされる説もあり、実際には戦国時代以降に周王朝の理想的な制度について記したものと見られ、金文資料や他の先秦の文献に見られる制度とは食い違いがある。周礼や礼記などの「礼」の字は昔から「らい」と読み慣わしている。但し、「礼儀」「三顧の礼」などの「礼」は「れい」。あくまで書名の「礼」が「らい」である。

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