南留別志172

荻生徂徠著『南留別志』172

一 乎を「を」の仮名に用ふるは、唐音より来れるしるしなり。


[解説]

乎の字は漢文で詠嘆・疑問・反語の助字として使われ、。多くは「や」「かな」と訓読される。音は「コ」。ところで、漢文訓読の際、平安から室町時代頃までは、漢字の読み方を示すために漢字の字面の四隅・上下・中央などに記入した符号。を用いた。これを乎古止点(をことてん)と言う、胡粉(ごふん)または朱で記した(図参照)。中国音はhūであり、徂徠の言う唐音(中国語)由来の見解とは合致しない。

ヲという片仮名は乎の上の部分から採ったもので、原形と著しく異なるが、ここから我が国の先人たちは乎をヲと発音したことがわかる。

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