南留別志169

荻生徂徠著『南留別志』169

一 唐を「から」とよむは、朝鮮のあたりに、加羅(から)といふ国ありしなり。異国より、日本国王に賜ひし、都督軍事の官に、任那(みまな)加羅などゝかぞへていへり。はじめて、吾邦(わがくに)に通じたるゆゑ、異国人の事を後には、みな「から」といへるなるべし。


[語釈]

●加羅 伽耶(かや、加耶とも)、または加羅諸国(からしょこく)は、3世紀から6世紀中頃にかけて朝鮮半島の中南部において、洛東江流域を中心として散在していた小国家群を指す。広義の任那に含まれるが狭義の任那とは位置が異なる。 

●都督 ととく。三国時代に設置され、本来は監督、統轄の意味で、軍司令官のことをいったが、複数の州に跨る管轄領域を持った都督は長官である刺史を兼ね、都督府を置いて府官を任じ軍事だけでなく民政をも掌握する様になった。六朝時代を通じて都督の官名が使われた。

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