南留別志167
荻生徂徠著『南留別志』167
一 二荒(ふたあら)を補陀落(ふたら)とし、音(おん)にてよみて、「にくわう」(にこう)といふを、日光とかき替へたるを見れば、ふるき事は、考へ得がたき事おほかるべし。
[解説]日光二荒山神社の社名になっている社名「二荒山(ふたらさん)」の由来には以下の諸説がある。
「補陀洛山」説:観音菩薩が住むとされる「補陀洛山(ふだらくさん)」が訛ったものといわれ、後に弘法大師空海がこの地を訪れた際に「二荒」を「にこう」と読み、「日光」の字を当てこの地の名前にしたとするもの。ただし、空海の来訪は伝承の域を出ない。
男体山・女峰山2神の二神二現説
暴風雨説
アイヌ語の「熊笹 = フトラ」説
男体山山頂遺跡の出土品から、鎌倉時代初期には「二荒」と「日光」が併用されていたことがわかっている。
徂徠の時代には既に「二荒」「日光」が併用されて久しく、由来も分からない状態だった。音読みで両方が通用し、元来の「二荒」がおめでたい字の「日光」に書き換えられたらしいということはわかるものの、同様に本来の字が書き替えられてしまった他の例では、昔本来の意味は知り得ないものが多いことだろうとする。
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