南留別志163
荻生徂徠著『南留別志』163
一 鎌倉の時分までは、進士といふ事ありしにや。日蓮の事をかきたる物に、進士太郎といふ人の名あり。進士の子なるべし。
[解説]現在でも、「進士」という姓の人がおられるようだ。「しんし」「しんじ」の二通りの読み方がある。進士太郎は日蓮の有力信徒の一人で、康元元(1256)年に、進士太郎善春、工藤吉隆、名越光時の重臣である四条金吾、安房の天津の工藤左近将監吉隆、池上右衛門大夫志宗仲、同じく兵衛志宗長、荏原左衛門尉義宗、熊王等が入信した(『本化別頭仏祖統紀』)。これをみれば、既に「進士」を姓として使っているようである。進士に及第したから姓としたのか、俗称がいつしか姓として使われるようになったのかは定かではない。
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