南留別志161

荻生徂徠著『南留別志』161

一 いんでん(印伝)といふ皮は、応帝亜といふ国よりい(出)づ。「ゐんでや」とよむ。いにしへの印度(インド)なるべし。


[解説]「応帝亜」の読み方について、かつて漢字検定で出題されたという。出す方も試す人たちも、難易度が高いもの(用例がごく限られたもの)ほどそそられるのだと思うが、知識は教養として人格を磨くものとなってこそ役に立つので、知識ばかり豊富でも、それをひけらかしたり自慢して人を見くだすような人になってしまってはいかがなものかと思う。学歴も同じだが。

 印伝は印伝革のこと。羊や鹿の皮をなめしたものをいう。 細かいしぼが多くあり、肌合いがよい。なめした革に染色を施し漆で模様を描いたもので、袋物などに用いられる。名称はインド伝来に因むとされ、現在は甲州の伝統工芸として有名。馬具、胴巻、武具や甲冑の部材をはじめ、巾着・銭入れ・胡禄・革羽織・煙草入れ、札入れ・下駄の鼻緒・印鑑入れ・巾着・がま口・ハンドバッグ・ベルト・ブックカバーなどが作られている。

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