南留別志150
荻生徂徠著『南留別志』150
一 笙(しょう)、笛、琵琶の類、吾邦(わがくに)に伝へたるは、唐朝の制なり。明(ミン)朝の器よりは、形みな大きなり。書籍も、宋板の本は、本も大きにて、字の大きさも、銭ほどなり。尺八変じて、一節切となる。物ずきのかはりめ、大かたはかくのごとし。
[解説]楽器や書物など、時代が古いものほど形が大きく、時代が下るにつれてコンパクトになる。これは他にもいろいろあるはずで、現代でも例えばワープロの第一号は机ほどもある大きさだった。図は宋版の『毛詩正義』(『詩経』の注釈書のひとつで、唐代に書かれたもの)。一般に宋版は大きく、明版は小さい。また、印刷造本状態も宋版は丁寧、綺麗で、明版は粗悪なもの少なくない。清朝になると大量に印刷されるようになるほか、縮刷本も出るようになり、虫メガネがなければ見えないような細かい字のものまである。
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