南留別志149

荻生徂徠著『南留別志』149

一 くだりての代に、つくり出でたる物は、名あたらぬなり。詞にいへば、わかるやうなれども、文字にかきては差別なし。侍烏帽子(さむらいえぼし)、大小、かたな、わきざし、たち、大刀、なぎなた、ながかたな、こがたな、ちいさがたな、上下の種類なり。


[解説]武士が差す刀は「大小」で、太刀と脇差(わきざし)のこと。太刀は「かたな」「ながかたな」とも言い、脇差は「こがたな」「ちいさがたな」とも言う。刀は古くは三尺以上もある大太刀もあったが、これは実戦で意味をなすもので、刀を抜く事さえ禁じられている泰平の世では邪魔なもので差すことはない。名称はいろいろあり、耳で聞いてわかるが、時代が下るとともに増えた種類、差別(くべつ)も結局は「大」「小」のいずれかである。名と実の一致を説いている。

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