南留別志141
荻生徂徠著『南留別志』141
一 いはひ(祝い)の時、昆布の切様に、ひきまたといふ事あり。かへる(蛙)のまたに象(かたど)るといふは心得がたし。匹またなるべし。二端の布をひとつにつらねて、両のはしよりまきて、おきたる形なり。夫婦をいはふ(祝う)なるべし。
[解説]祝いの席に出す昆布を「ひきまた」という切り方にするものがあるが、この言葉は一般にカエルの股のような形であることからそう言われているとするのに対し、徂徠はそれを否定。匹は匹夫・匹婦の匹で、二つのものを一つに結ぶ意味で、男女が夫婦になったことを祝うことであるとする。由来は確かではないが、徂徠の説のほうがふさわしいように思われる。
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