南留別志140

荻生徂徠著『南留別志』140

一 毒を「ぶす」といふは「附子」なり。田舎にて、草烏頭(くそうず)をよばはり草といふ。瘧(おこり)などにすりての(飲)ますれば、しばし絶え入るを、呼びもどすなり。蝦夷(えぞ)などの毒箭(どくや)も、草烏頭をすりて付くるなり。武備志に製法あり。


[語釈]

●草烏頭 トリカブトのこと。母根は烏頭,子根は附子とされていたが,烏頭はそのまま乾燥したもの,附子は加工を施したものを指すようになった。猛毒で、殺虫、鎮痛、麻酔などの薬用に用いられる。「そううず」「いぶす」とも。 

●武備志 中国,明代の兵書。茅元儀(ぼうげんぎ)著。240巻。1621年(天啓1)に成る。著者は少時より兵家の学を好み,2000余種の書物を資料として歴代の戦術を詳述した。ことに明代の形勢を述べた部分は最も史料価値が高く,明代史研究の重要文献である。戦陣図や地図も収録している。(図は九州。左が北)

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