南留別志131
荻生徂徠著『南留別志』131
一 山は「やむ」、川は「かはる」といふは、理学者の談なり。
[解説]ここで言う理学とは、中国の宋代に興った性理学のこと。この世のあらゆることは理(宇宙本体)と気(現象)によるもので、人もまた自然の一部であるとする。徂徠によれば、山の訓「やま」は「やむ」(止む)、川の訓「かわ」は「かわる」(変わる)ということで、それぞれの性質を表わしたものと理学者が説明したとする。山は動かず静かであることから、物事がそこにとどまる状態を示しているように見えるし、川は水が絶えず流れ、時には川筋そのものが変わることもあるから、移り変わりを具現化していると言える。和訓について普段あまり深く考えることをしないが、この二字の説明は納得させられる。
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