南留別志127

荻生徂徠著『南留別志』127

一 下総国の国府台(こうのだい)といふ所に石槨(せっかく)あり。かたはらに車塚あり。法王の塚と、所のものゝいひ習はせるは道鏡なるべし。甲斐国にも法王が嶽あり。法王の流され給ひて、此山(このやま)にのぼり、都を望めるといふ。是も同人なるべし。


[語釈]

●道鏡 [?~772]奈良時代の法相(ほっそう)宗の僧。河内の人。弓削(ゆげ)氏出身。称徳天皇に信任されて政界に進出。太政大臣禅師・法王となり、権力をふるったが、皇位をねらって藤原氏および和気清麻呂(わけのきよまろ)らに阻止された。天皇の死後、下野(しもつけ)の薬師寺別当に左遷され、その地で没し、庶人として葬られた。

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