南留別志123
荻生徂徠著『南留別志』123
一 「おんたらし」といふは、御執とかく。君の持ちたまへる弓といふ事なり。甲陽軍鑑(こうようぐんかん)に、梵語(ぼんご)なりといふ。又、多羅葉(たらよう)の枝にて作るなどいふ。大きなる僻事(ひがごと)なり。
[語釈]
●甲陽軍鑑 江戸時代初期に編纂された軍書。20巻。甲州流の軍法,兵法を伝える目的で,武田晴信 (信玄) ,勝頼2代にわたる事績,合戦,刑政,軍法を記し,さらに甲州武士の事績,心構え,理想を述べたもので,軍法の記述に中心がおかれているので軍鑑という。本書は武士道という語を使用した最も古い文献。
●梵語 古代インドの文語であるサンスクリット。
●多羅葉 モチノキ科の常緑高木。暖地の山地に生え、高さ約10メートル。葉は長楕円形で大きい。雌雄異株で、春、黄緑色の小花を密生する。葉面に傷をつけて文字を書くことができるので、経文を書くタラジュにちなんで名をつけられた。もんつきしば。のこぎりしば。
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