南留別志116
荻生徂徠著『南留別志』116
一 今の筑紫筝(つくしごと)の調は、一五三相生じて、四六は別の物なり。五音相生の次第、中絶えてふたつに分れたり。これをよしとする人は、五蔵にかけたるところあるべしと思はる。
[語釈]
●筑紫筝 邦楽の種目,楽器名称。天文(1532‐55)頃,筑紫善導寺の僧賢順が,それまで寺院歌謡として伝承されてきた箏伴奏の歌曲を,組歌形式に編集した箏曲をいうが,以来,箏曲に用いられる箏を雅楽の箏と区別して筑紫箏ともいい,また,近世箏曲全体の総称として,筑紫箏ということもある。狭義には,盲人音楽家に伝承された普通の箏曲を除外する。筑紫箏の音楽は、高尚で雅びであるが娯楽性は少なく、礼や精神性を重んじ、また調弦も雅楽に近い「律音階」に由っていた。
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