南留別志110
荻生徂徠著『南留別志』110
一 片仮名のスは、数の字なりと思ひしに、万葉を見れば、為の字の半体なり。為便を「すべ」とよめり。また片仮名に爪とかきたるあるなり。
[解説]徂徠が万葉集のどの種類の書物を見て述べたのか不明だが、江戸時代に大いに行われたくずし字の「為」の字のうち、「ス」らしきものが見えるものとしては次のようなものがある。
「半体」というのは、この字では左上の書き出しの部分から左下へ向かう部分と、そこから次のこまかな部分につなげる線までを指すと思われる。
「爪」は下の例のように「為」の正字(旧字)を楷書体で丁寧に書く場合の上の部分を指す。
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