南留別志102

荻生徂徠著『南留別志』102

一 義絶といふは、夫婦、君臣にいふ詞なるを、父子に用ふるは、大きなる誤なり。


[解説]義絶は常に狭義の(本来の)意味を持つ言葉だが、一方では広義に使われたり解釈されて、徂徠はそういった風潮を批判した。古代の律令制では、夫が妻の祖父母や父母を殴打したような場合、夫婦は互いに離婚すべきものと定められており、これを義絶と定めた。江戸時代は、幕府法上は義絶は従弟(いとこ)または又徒弟との親族関係を断絶する行為を義絶とした。しかし、縁者または由緒ある者との断絶の行為をも含む事例が多く、広義に解釈されていたことが分かる。なお、徂徠は「君臣」の関係を絶つことも義絶としているが、歴史的にそう定めた法令等は見当たらない。何に拠ったのであろうか。

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