南留別志100

荻生徂徠著『南留別志』100

一 羆を「しぐま」といふは、何ものゝつけたる訓ならん。


[解説]ヒグマはクマ科の哺乳類。ヨーロッパからアジア北部、北アメリカにかけて分布。多くの亜種があり、ふつう体長約2メートル、体重約200キロ。体色も灰褐色・赤褐色・黒褐色と変化が多く、地方によりアカグマ・ハイイログマなどとよばれる。北海道にすむ亜種エゾヒグマはツキノワグマより大きく、性質も荒い。樹洞などで冬ごもりする。肉食を主とする雑食性。日本に生息する陸棲哺乳類で最大の種。平安中期の『倭名類聚抄』などでは「之久萬(しくま)」と読み、徂徠も「しぐま」と記しているように、古くはシグマと言われていた。この和名について、誰が名付けたものであろうかと、読み方からは意味が判然としないことから徂徠は不思議に感じている。

和漢三才図会巻第三十八 獣類 羆(しくま)

 説明を現代語訳すると以下のごとし。「羆は熊に似て、大きい。色は黃白。頭は長く、脚は高い。獰猛(どうもう)で力が強く、樹を引き抜くほど。虎さえも恐れる。熊や羆は強いことから陽に属する。このため、二心のない忠臣に譬えられている」

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