南留別志97
荻生徂徠著『南留別志』97
一 法勝寺(ほっしょうじ)の執行(しゅぎょう)俊寛、吉野の執行岩菊丸あり。執行とは、寺務を執り行ふ僧の、妻帯にて子孫に伝へたるが、いまだ、童行なるもあるなるべし。
[語釈]
●俊寛 1143~1179 平安末期の真言宗の僧。法勝寺執行。鹿ヶ谷(ししがたに)の山荘で藤原成親・成経父子や平康頼らと平清盛討伐の密議をしていたのが発覚して流島となり、鬼界ヶ島で没した。
●岩菊丸 金峯山寺本坊付近にあった新熊野院の主僧で、前執行の地位を利用して同じく寺僧派の吉水院真遍(宗信)と対立し吉野山から放逐されたか、自ら手勢を率いて脱出し幕府方に身を投じた人物と思われる。太平記巻第七「吉野城軍事」に幕府方の道案内役として見える。
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