南留別志77

荻生徂徠著『南留別志』77

一 檜垣の嫗(ひがきのおうな)が集に、くきのたんといへるは、くまの大弐なるべし。


[語釈]

●檜垣の嫗 平安時代中期の伝説的歌人。筑紫(つくし)白川(熊本県)の遊女と伝えられる。「後撰和歌集」に「年経(ふ)ればわが黒髪も白川のみづはくむまで老いにけるかな」の1首があり,歌の相手は大宰大弐(在任911-916)藤原興範(おきのり)とされるが,「大和物語」では小野好古,「檜垣嫗集」では清原元輔となっている。 

●くまの大弐 大宰大弐藤原興範のこと。


[解説]徂徠は漢文を訓読によらず中国語でそのまま読んだほど漢籍に通じ、よく読んだが、国書も実に広く読んでおり、この「檜垣嫗集」のように、よくぞこんなものまでと思うようなものまで目を通している。これが学者というものだが。

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