南留別志40

荻生徂徠著『南留別志』40

一 振鉾をゑんぶとよむは、志とゑと形似たるゆゑ、よみ違へたるなり。


[語釈]●振鉾 厭舞とも(厭(まじない)の舞の意)。雅楽の曲名。舞楽の始めに邪気を払い悪魔を抑え鎮めるために、左右各一人の舞人が鉾(ほこ)を持って舞う曲。えぶ。徂徠の言うように、「振」の字は「えん」という訓はない。しかし、徂徠の時にはすでに「えん」という読みを「振鉾」という曲名では固定化していたようで、古くからこの読みがなされていたようだ。ただ、「志んぶ」を「ゑんぶ」と誰かが読み違えて、それがそのまま広まったということも無理があるように感じる。

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