南留別志39
荻生徂徠著『南留別志』39
一 巡礼行人(ぎょうにん)などのきたる物は、衰絰(さいてつ)の遺制なり。父母の菩提のために、喪服の内に、観音大日(だいにち)を礼せるゆゑ、衰絰を着たりしが、後には、喪礼亡びて、観音大日を礼する服となれり。御ゆづりといふは、※(衣へんに衰)の字をよみ違へたるなるべし。
[語釈]●衰絰 「衰」は胸の前につけ、「絰」は首と腰とにつける麻のことで、中国で、喪中に着る麻布の衣服。喪服。
[解説]仏道を修行する人が着る服も、中国の衰絰という喪服が我が国に伝わり、観音や大日如来を礼するための服になったと徂徠の見解。
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