南留別志35
荻生徂徠著『南留別志』35
一 紫衣(しえ・しい)、香衣(こうえ)ゆるされたる僧を、官したるといふは、文盲なることなり。衣をゆるされたりとも、皆平僧なれども、尊めるは徳をたうとぶなり。三連尊は、儒家の教(おしえ)なれども、僧家にのみ残れり。
[語釈]●紫衣 紫色の袈裟(けさ)および法衣の総称。古くは勅許によって着用した。紫甲。しい。●香衣 薄赤に黄を帯びた香染めの僧衣。のちには青・黄などの僧衣にもいう。 ●三連尊 未詳
[解説]紫衣の着用を許された僧は官位を与えられると一般に言われているのは無知である、と徂徠は言う。紫衣や香衣を許されるのは、その僧の徳に対してであり、身分は平僧のままであるという。「三連尊」はもともと儒家における教えであったが、今は仏教にのみ残るとする。
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