南留別志25

荻生徂徠著『南留別志』25

一  童名(わらわな)に、箱王、春王、鬼王などいへる、古は、三世王、五世王などの姓を賜はるは、多くは元服して賜はれるなるべし。童部(わらわべ)の時は、いまだ諸王なれば、何王と称したるが、凡人の家にも移りたるならんと思はる。


[解説]童名は幼名のことで、武家や公家など、子が元服をして諱(いみな)をつけるまでの愛称のようなもの。それぞれの家ではつける童名が決まっていて、たとえば

細川京兆家 - 聡明丸

大内氏 - 亀童丸

徳川将軍家 - 竹千代 

尾張徳川家 - 五郎太

紀州徳川家 - 長福丸

水戸徳川家 - 鶴千代

加賀前田家 - 犬千代

宇喜多氏 - 八郎

赤松氏 - 道祖松丸(才松丸=さえまつまる)

小西氏 - 弥九郎 

 といった具合。他にも男子ができれば別のものもつけたが、最初の子はおよそこれらの名が継承された。また、「王」のついた童名としては、

源義仲 - 駒王丸

足利義詮 - 千寿王

今川氏親、今川氏真 - 龍王丸

 などがある。

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