南留別志6
荻生徂徠著 南留別志 6
一 ものゝふの剛臆といふ詞は、義家の奥州にて、甲乙の座を定めたるよりおこれり。甲乙人といふも、是より出でたるなるべし。又楽(がく)に笛の平調を干(かん)といひて、笙(しょう)のを乙と名づけたるも、干は甲の字の半体なり。三線のかん所も、此字ならん。物のこつといへる詞も、甲乙を合呼(ごうこ)したるなり。
[解説]前条に続き、甲乙のつけ方について、および「こつ」(「よい文章を書くにはこつがある」といった用例の「こつ」)という言葉は「甲乙」(こうおつ)を合わせたものであるとする。
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