斉諧俗談200
斉諧俗談 200
〇琵琶湖鮎[びわこのなまず]
近江の国琵琶湖には、大きな鮎[なまず]がたくさんいる。しかるにこの鮎は、毎年中秋の頃、月の明るい夜に、千万匹が群がって竹生島(ちくぶじま)の北の洲の砂の上に上がると、土地の人たちの言い伝えにある。この鮎は、弁財天のお使いの魚であるという。
[語釈]
鮎 日本で魚の「アユ」のことを「鮎」という字が当てられるようになるまでは、「ナマズ」のことを「鮎」の字で当てていた。これは、中国で「鮎」が「ナマズ」の意味であり、古くはそのまま日本でも使われていたことによる。本書が書かれた江戸時代には「鯰」という字が定着していたが、作者が漢学の素養があることから、あえて漢語としての「鮎(マナズ)」の表記にこだわったのかもしれない。よくあることである。琵琶湖はナマズの生息地で、特にビワコオオナマズという国内最大級の種類がいる。
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