斉諧俗談193
斉諧俗談 193
〇擁劔蟹[がさめ]
伝承に言う、山城、大和両国の渓谷の間に、擁劔蟹がいる。この擁劔蟹は毎年十月の丑(うし)の日に必ず群れをなして出て来る。土地の人たちは、この日を待ちかねて出て来たところを捕まえる。なぜこの日に出るのかは分からないという。
筆談に言う、閔(びん)地方には蟹がいない。このため、閔の人たちは蟹の形を怪しみ、乾燥させた蟹を門の上に掛けて、おこり除けのまじないにしている。なぜまじないとして効き目があると思っているのかは誰も知らない。鬼(き)もまた知らないという。
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