斉諧俗談192
斉諧俗談 192
〇海坊主[うみぼうず]
伝承に言う、西海の大洋に海坊主と呼ばれるものがある。その形は身はすっぽんで、顔は人。頭に毛がなく、大きなものは五、六尺ある。漁師たちは、これを目撃した時は不吉であると言い合っている。実際、これが出ると不漁となる。もし、これを捕らえて殺そうとすると、手をこまねき、涙を流して助けを乞うようなしぐさをする。そこで漁師は「おまえの命を助けてやるかわりに、今後、わが漁の邪魔をするでないぞ」と言うと、海坊主は西の方角に向かい、天を仰いで承知したという気持ちを表した。そこで漁師は海坊主を放してやった。これは、中国で言う和尚魚[おしょううお]のことである。
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