斉諧俗談189
斉諧俗談 189
〇三足鼈[さんぞくのかめ]
和漢三才図会に言う、昔、ある人が三本足の鼈(かめ)を捕まえた。妻に命じてそれを煮させて食べ、それから寝室へ入って寝た。しばらくすると、男の体が溶けて水になり、ただ髪の毛だけが残った。隣家の人がこれを見て、妻が殺したのではないかと疑い、役人に訴え出た。知事の黄廷宣[こうていせん]が吟味を尽くしたが、判然としない。そこで、別に三本足の鼈を捕まえさせ、妻に前と同じように煮させ、罪人にこれを食べさせてみた。果たして、罪人はみるみる溶けて水になった。これにより、妻の無実が証明されたという。
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