斉諧俗談162

斉諧俗談 162

斉諧俗談 巻之五

〇怪瓜[あやしきうり]

著聞集に言う、御堂の関白殿物忌(ものいみ)の最中、解脱寺[げだつじ]の僧正観修[かんしゅ]、陰陽師清明[おんみょうじせいめい]、医師忠明[ただあきら]、武士義家(よしいえ)の朝臣が傍らに侍っていた。五月一日、南都より早瓜[はやうり]を献上する者があった。物忌の最中のこととて、たやすく受け取ってはならぬと、清明に命じてその瓜を占わせた。清明が占って言う、「一つの瓜に毒があります」と。そこで僧正が念誦加持をしたところ、一つの瓜が激しく動いた。忠明はその瓜を取ってねんごろに調べると、針を二か所に刺した。すると、瓜は動かなくなった。義家が腰刀を抜いて瓜を真っ二つに割ると、中に小さな蛇がいて、既に死んでいた。針は蛇の両目に刺さり、頭は刀で切られていた。四人いずれも名が天下に鳴り響いているのも、決して偶然ではない。

 按ずるに、この話は元亨釈書(げんこうしゃくしょ)にも出ているが、少し異同がある。

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