斉諧俗談160
斉諧俗談 160
〇菌之毒[くさびらのどく]
五雑俎(ござっそ)に言う、喜定[きじょう]己亥(つちのとい)の年、徳明という僧がいた。かつて山に遊び、珍しいきのこを見つけて持ち帰り、衆僧とともにこれを食べた。すると、たちまち毒にやられて死する者十余人。しかし徳明は、人糞をなめて事無きを得た。衆僧の中に日本の僧の定心[じょうしん]という人がいた。「今まさに死に至ろうとしているが、この身をば汚すことはすまい」と言って、自ら身体を折り裂いて死んだ。この僧は日本の相模の国にある元勝寺[がんしょうじ]の僧で、姓は平氏であるという。
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