斉諧俗談158
斉諧俗談 158
〇弟切草功能[おとぎりそうのこうのう]
伝承に言う、花山院の御代、晴頼[せいらい]という鷹飼いの妙手がいた。業に精通していることといえば、あたかも神のようであった。飼っている鷹が他の鳥によって傷つけられたならば、草をもんで傷口に塗るとたちまち治癒した。人々が「その草の名を教えてくれ」と頼んでも、晴頼は秘密にして教えなかった。が、晴頼の弟がひそかにそれを漏らしてしまったため、晴頼は激怒して弟を刀で斬り殺してしまった。以来、人々はその草が鷹にとって良薬であることから、名を弟切草[おとぎりそう]というようになったという。
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