斉諧俗談152

斉諧俗談 152

〇芭蕉花[ばしょうのはな]

伝承に言う、鎌倉の浄重法師の庵[いおり]にある優曇華[うどんげ]が開き近在からも遠方からも多くの人たちがひと目見ようと集まってきた。二位の禅尼が左近将監(さこんのしょうげん)を遣わして確かめさせたところ、芭蕉の花であったとうことだ。


[語釈]

優曇華 芭蕉の花のことも優曇華というが、ここでは集まった人々がインドの想像上の植物で、三千年に一度その花の咲くとされるものと思い込んだようだ。芭蕉を見たことがない人が多かった時代には無理もない。

二位の禅尼 鎌倉の二位の禅尼、すなわち北条政子のこと。

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