斉諧俗談130

斉諧俗談 130

〇嗣信石碑[つぎのぶのせきひ]

讃岐の国屋島の壇の浦に、佐藤嗣信の石碑がある。伝承に言う、後小松院の御代、至徳元年四月五日、陸奥の国の空信という沙門がこの地に来て墓に詣で、追悼の和歌を詠んだ。

   痛わしや君の命を次信がしるしの石は苔ごろもきて

と詠んで手向けると、石碑の中から声がして、

   惜(おしむ)ともよも今まではながらえじ身を捨(すて)て社(こそ)名をば次信

と返歌を詠んだという。

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