斉諧俗談125

斉諧俗談 125

〇樴竿[しるしのさお]

樴竿[しるしのさお]というのは、北国ですることである。初雪の降る時に、大きな竿を地面に立て、冬の間降る雪がどれほど積もったかを測るのに使う。およそ深雪の国は、越後と出羽を第一とする。信濃がこれに次ぐ。越後の高田、出羽の尾花沢[おばなざわ]など、それぞれ一辺が四、五里ほどの地域で豪雪となる。もちろん、山岳の状況によって同じ地域でも深浅の差がある。平均で一、二丈ほど積もるが、ひどい年は六、七丈にも達する。このため、さしもの深い谷も平地のようになる。このため、常に屋根に積もった雪を掃き下ろさないと家がつぶれてしまう。積もった雪の中に穴を掘って隣へ行き来する。翌年の春になるまで、雪の中に蟄居する状態である。しかし、家の中は思ったより温かく、ひどく冷えることはないということだ。

過去の出来事

過去の本日の朝廷や江戸幕府の人事一覧、その他の出来事を紹介します。ほかに昔に関する雑記など。