斉諧俗談104

斉諧俗談 104

〇右馬頭市[うまのかみのいち]

讃岐の国高松の石清水[いわしみず]に八幡宮の社がある。

 〔割注〕高松の総氏神。

伝承に言う、細川右馬頭と左馬頭とが当国で合戦をし、右馬頭の軍が大敗してここに逃げ落ちた際、小さな祠(ほこら)があるのを見つけ、土地の人に何の神かを聞いたところ、八幡様であるとのこと。そこで右馬頭は馬から下りて祈願した。その翌日、再び左馬頭の軍と対峙したところ、空から袋のようなものが降って来、それが破けて中から数万匹の蜂が飛び出して、左馬頭の兵たちを次々と刺した。右馬頭の軍勢はこれに乗じて左馬頭の兵らを討ち、勝利した。右馬頭はさっそく八幡宮に供物を納め、戦勝の奉告をしたという。その後、現在に至るまで毎年四月三日に市が立ち、これを右馬頭市という。

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