斉諧俗談96

斉諧俗談 96

〇鞨鞁楼[かっころう]

事物起原に言う、唐の玄宗皇帝の時、春なのにとても寒くて花がなかなか咲かないことがあった。そこで玄宗御みずから楼(やぐら)に登って鞨鞁を打たれたところ、百花が一斉に開いた。この事にちなんで、その楼を鞨鞁楼と名付けたということだ。


[語釈]

事物起原 中国の類書。原本は20巻217事、現行本は10巻1765事。宋の高丞撰。成立年未詳。事物を天文・地理・生物・風俗など55部門に分類し、名称や縁起の由来を古書に求めて記したもの。事物紀原集類。

鞨鞁 中国の膜鳴楽器。「鞨鼓」とも書く。中央がややふくらんだ胴をもつ。奏者の前に横向きに台に載せて置き,2本の長い桴 (ばち) で,鼓と同じように,あらかじめ丸枠に張ってある2枚の皮を紐で締めて胴に当て,その両皮面を打奏する。鼓という中国名はチベット系の羯人に由来するものと考えられ,クチャ,カシュガル,サマルカンド,北インドなどから輸入された胡楽のなかで,12世紀頃まで広く用いられた。

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