斉諧俗談95

斉諧俗談 95

〇仙遊山[せんゆうざん]

交趾国[こうちこく]に仙遊山という山がある。一名は爛柯山[らんかざん]ともいう。

 〔割注〕交趾は今の安南国である。日本よりおよそ千四百里。

述異記(じゅついき)に言う、晋の時、一人の樵夫[きこり]がいた。名を王質という。ある時、この山に入って木を伐っていたところ、二人の仙人が向かい合って囲碁を打っている所に出会った。仙人は王質を見ると、一物を与えた。その形は、棗[なつめ]の核[さね]のよう。これを食えば腹が減ることがないという。王質は持っていた斧を側に置いて二人の囲碁を眺めていたが、いつの間にか斧の柄が腐ってしまっていた。その後、王質が故郷へ帰ると、同時代の人は誰もいなかったという。

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