斉諧俗談90
斉諧俗談 90
〇応声虫[おうせいちゅう]
遯斎閑覧[とんさいかんらん]に言う、昔、ある人がいた。その人、言語を発するたびに、腹の中からそれに応じる小さな声がした。その声は次第に大きくなってきた。一人の道士が言うには、「これは応声虫である。本草(ほんぞう)を声を出して読むがよい。虫が無言の薬があるはずだから、それを飲むことだ」と。そこで男がさっそく本草を音読し始めると、雷丸[らいがん]が無言だったので、雷丸を数粒服用したところ、たちまち治ったという。
[語釈]
本草 医薬に関する学問、書物で、漢方のこと。ここでは『本草綱目(ほんぞうこうもく)』という書物を指す。古くから「ほんぞう」と読み、奔走(ほんそう)と区別している。
[解説]
応声虫の事は複数の書物に見え、症状も大同小異ですが、回虫のような寄生虫に関係があるのではないかと考えられています。
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