斉諧俗談88
斉諧俗談 88
〇藍澱治噎疾[あいのしるえつしつをじす]
唐の永徽(えいき)年間に、一人の僧がいた。のどがつまる病で物を呑み込むことができない状態が数年続き、ついに臨終となる今わの際に、「拙僧が死んだら、のどと胸を開き、拙僧を苦しめたものが何かを調べてほしい」と言うと僧は亡くなった。そこで僧の遺言のとおりのどから胸にかけて切り開いたところ、果たして一つの物体があった。その形は魚に似て二つの頭があり、体は肉の鱗で覆われていた。これを鉢の中に入れてみると、勢いよく踊って止まない。試しに食べ物を入れてみると、それを食べようとはしないが、そのまま水に変化した。毒物を入れてみたが、これも消えてしまう。ある僧が藍の汁を作っていたが、それを少し鉢の中に入れたところ、魚のような物体は恐れおののき飛び出して走り出したが、しばらくすると水になってしまったということだ。
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