斉諧俗談70
斉諧俗談 70
〇孤児吸乳出[こじちちをすいいだす]
和漢三才図会に言う、山家に孤児があり、家婢[しもべおんな]が育てていた。この婢はまだ出産をしたことがないため、乳が出ない。昼は膠餳[ぢおうせん]を吸わせ、夜は自分の乳を含ませ、抱いて寝た。このようにすること数か月、乳汁が自然に出るようになり、ついに乳母となった。人は皆、これを不思議がったという。
[語釈]
膠餳 膠飴(こうい)。米、小麦、粟(あわ)などの粉に麦芽(ばくが)を混ぜて糖化させ、それを煮詰めた水飴状のもの。とくに糯(もち)米が適するとされる。
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