斉諧俗談51

斉諧俗談 51

〇角異[かくい]

元亨釈書(げんこうしゃくしょ)に言う、昔は天台の僧は毎年七月十五日に法幢院(ほうどういん)に会して、それぞれ応験(おうげん)の優劣を試した。これを角異という。俗人における角觝(かくてい)のようなものである。天暦(てんりゃく)六年、比叡山の修入と浄蔵という二人の僧が角異を行った。まず浄蔵が、一つの大石に呪文をかけて縛った。石は毬を打つように上下に動いた。それを見ていた人々は奇妙なことだと驚いた。修入は石に向かって叱って言う、「なんとせわしないことよ。静かにせよ」と。言い終わると、石は動かなくなった。二僧は同時に激しく念じると、石は真っ二つに割れ、それぞれ踊りながら二僧の前に転がったということだ。


[語釈]

応験 修行を積んだしるしが現れること。

角觝 相撲など力競べをすること。

過去の出来事

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