斉諧俗談45
斉諧俗談 45
〇伶人浜主[れいじんはまぬし]
仁明天皇の御代に、伶人の尾張の浜主という者がいた。その年齢はすでに百十三歳にもなり、しかも舞曲の形は美少年のようであった。帝はそこで浜主を召し、清涼殿の前で長寿楽という舞楽を舞いさせられた。
〔割注〕長寿楽は浜主が創作した舞楽である。
舞い終わると和歌を一首、帝へ献上した。帝はとても感激なされ、御衣を下賜されたという。
翁[おきな]とて侘[わび]や終らん草も木も栄える時に出(いで)て舞こん
[語釈]
伶人 雅楽を奏する人。楽人(がくにん)。
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