斉諧俗談40

斉諧俗談 40

〇前出地蔵[まえだしのじぞう]

相模の国鎌倉米町の西に、延命寺という浄土宗の寺がある。この寺の本尊は地蔵菩薩である。しかるにこの本尊の形は裸の立像で女陰がある。双六盤(すごろくばん)を台座にして衣をかけ、開帳の時は女陰が露出するために、前出[まえだし]の地蔵という。伝承によると、昔、北条時頼の妻が双六の勝負をし、負けたら裸になるということを賭けにした。ところが、妻は勝負に負けてしまった。妻は裸になることを恐れ、一心に地蔵菩薩に願をかけたところ、地蔵は妻にそっくりの姿に化け、妻に代わって裸体となった。人々は不思議な思いをし、このことからその地蔵の像を造り、延命寺に納めたということだ。


[解説]鎌倉に延命寺はあるものの、この像については情報がなく、単なる伝承なのか、現存するものの蔵して公開せずの状態なのか、調べ得てないので不詳です。

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