斉諧俗談39
斉諧俗談 39
〇補陀落寺水葬[ふだらくじのすいそう]
紀伊の国那智浜の宮渚の森に、補陀落寺[ふだらくじ]という真言宗の寺がある。当寺の住持は、代々臨終の時に及んで、船に乗って寺の向かいの綱切島[つなきれじま]という島へ渡り、息絶えたのち海中へ沈めて葬る。これは昔からのならわしである。補陀落観音のおわします浄土へ往かせるためであると言い伝えられている。
[語釈]
補陀落寺 補陀落山寺。和歌山県東牟婁郡那智勝浦町にある、天台宗の寺院。補陀落とはサンスクリット語の観音浄土を意味する「ポータラカ」の音訳。境内は国の史跡「熊野三山」の一部。ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』(2004年7月登録)の構成資産の一部。仁徳天皇の治世にインドから熊野の海岸に漂着した裸形上人によって開山されたと伝える古刹で、平安時代から江戸時代にかけて人々が観音浄土である補陀洛山へと小船で那智の浜から旅立った宗教儀礼「補陀洛渡海(補陀落渡海とも)」で知られる寺である。江戸時代まで那智七本願の一角として大伽藍を有していたが、文化5年(1808年)の台風により主要な堂塔は全て滅失した。その後長らく仮本堂であったが、1990年に現在ある室町様式の高床式四方流宝形型の本堂が再建された。隣接する浜の宮王子社跡には熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわしゃ)が建つ。(以上、Wikipediaより)
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