斉諧俗談11
斉諧俗談 11
〇降怪雹[あやしきひょうをふらす]
和漢三才図会に言う、「元禄十五年五月十六日の申(さる)の刻、にわかに雨が降り出し雷鳴がして、黒雲が空を覆い、雹が降るということがあった。摂津の国より始まり、河内の国を経て大和の国分[こくぶん]で止んだ。乾(いぬい)より巽(たつみ)の斜めの方向である。距離にして六、七里。幅はわずか一里に過ぎない。雹の大きなものは稜[かど]があって瓦のかけらのようで、他にも鶏卵のようなものがあり、小さなものは蓮の実のよう。これに当たって頭に傷を受けた人もいれば、民家を突き破ったものもあった。時間にして一時(いっとき)、その後また晴れたという」と。
中国の宋の煕寧(きねい)年間の頃、河州で怪しい雹が降った。その形は人の頭のようで、耳目口鼻がみな刻んだようについていたという。
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