斉諧俗談8
斉諧俗談 8
〇降石鏃[いしのやじりをふらす]
三代実録に言う、「光孝天皇の御代の仁和元年六月二十一日、出羽の国秋田の城中、および飽海郡[あくみこおり]の神宮西浜等で石の鏃(やじり)が降った。同二年の二月にも、飽海郡の諸神社の辺りに石の鏃が降った」と。
按ずるに、出羽の国飽海の神社では、今もこのようなことがあるということが、米山翁の里人談に見えている。
[語釈]●鏃 矢の先端に付け,突き刺すための利器。「ぞく」とも読む。鏃身と茎(なかご)からなる。旧石器時代終末期に発生し,弓矢による狩猟具として普及した。新石器時代以降,石鏃,銅鏃,鉄鏃が登場した。 ●三代実録 正しくは日本三代実録。平安時代に編纂された歴史書。 六国史の第六にあたり、清和・陽成・光孝の3代の天皇の天安2年(858年)8月から仁和3年(887年)8月までの30年間を扱う。延喜元年(901年)に成立。 編者は藤原時平、菅原道真、大蔵善行、三統理平。 ●米山翁の里人談 菊岡米山(沾涼)著諸国里人談五巻。
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