斉諧俗談5
斉諧俗談 5
〇天狗星[てんぐぼし]
日本書紀に言う、「舒明天皇の九年二月十一日に、大きな星が東から西に流れた。雷のような音が轟いた」と。僧旻[そうびん]が言う、「これは星ではない。天狗である」と。この年、蝦夷(えぞ)の兵船が来たということだ。
[語釈]●天狗星 てんぐせい。音を立てて落下したり、地上に落ちて燃えたりする、大きな流星。天狗流星。 ●僧旻 「そうみん」とも。 飛鳥・白鳳時代の学僧。新漢人旻(いまきのあやひとみん)とも記す。推古天皇一六年(608)小野妹子に従って中国に渡り、舒明天皇四年(632)帰国。大化元年(645)国博士となり、さらに十師の一人に推されて仏教界の指導的地位に立ち、同五年高向玄理(たかむこのくろまろ)とともに八省百官の制を定めるなど、大化の改新にも参画した。白雉四年(653)没。
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