政談426

【荻生徂徠『政談』】426

(承前) 名乗は実名であり、何左衛門・何右衛門というのは仮名である。今は仮名を実名のように使っているため、名乗はまるで仮名のような扱いにされている。しかし、重要な書類などには名乗を記すのが古法であるのだから、今も分限帳をはじめ上へ差し出す書類には名乗を書き、仮名は小さく肩書にすべき。これだと同名を吟味しやすくなる。みだりに変えてはならない。

 このようにしなければ、古い日記や覚書など、代々同じ名が使われているために、今から幾代前の人のことかが分からず、どうすることもできない。世間の人は不学ゆえ、何事も目先のことで分かればあとのことはどうでもいいという態度だが、哀しむべきことである。(この項以上)

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